この記事でわかること
「QuickBooksのデータを、もっと簡単に分析できないだろうか?」
「毎月のレポート作成に時間がかかりすぎて困っている…」
こうした課題を持つ方は多いのではないでしょうか。QuickBooksのデータをExcelやPower BIに連携し、Microsoft Copilotで分析することでこうした課題の多くを解決できます。Copilotは自然な日本語や英語での問いかけに応じて、財務データの集計・グラフ化・要約を自動でこなしてくれるからです。
この記事では、QuickBooksとCopilotを組み合わせた実務的な活用方法をレポート生成・ダッシュボード作成・財務分析という3つの軸で解説していきます。読み終えていただければ、自社のデータ分析を次の段階に進めるための具体的なイメージがつかめるかと思います。
この記事の目次
1. QuickBooksとCopilotを連携する全体像
この章では、QuickBooksのデータをどうやってCopilotで分析できる状態にするのか、その全体の流れを整理します。まず前提を押さえておくことで、後の各手順が理解しやすくなるかと思います。
結論からいえば、QuickBooks自体にCopilotが直接組み込まれているわけではありません。Copilotは、Microsoft 365(ExcelやTeamsなど)やPower BIに搭載されているAI機能です。そのため、QuickBooksのデータをいったんExcelやPower BIに取り込み、そこでCopilotに分析させるという流れになります。
大まかな流れは次の3ステップです。
- ステップ1:QuickBooksからデータを書き出す(Export)
- ステップ2:ExcelまたはPower BIにデータを取り込む
- ステップ3:Microsoft Copilotで分析・可視化する
なぜ直接連携ではなく「一度取り込む」形になるのか
QuickBooksは会計・記帳に特化したソフトです。一方、Excelは自由な集計・加工、Power BIは高度な可視化に強みがあります。それぞれ得意分野が違うため、役割を分けて使うのが実務では現実的です。
たとえば、QuickBooksで日々の仕訳を管理し、月末にProfit and Loss Statement(損益計算書)やBalance Sheet(貸借対照表)のデータをExcelに書き出す。そのうえでCopilotに「前年同月比で売上が伸びた勘定科目を教えて」と尋ねるといった使い方ができます。
2. QuickBooksのデータを書き出す方法
この章では、分析の入り口となる「データの取り出し」について解説します。書き出しの方法は主に2つあり、目的に応じて選ぶとよいかと思います。
QuickBooksからのデータ書き出しは、ExcelへのエクスポートとPower BIへの接続の2通りが基本です。
Excelへエクスポートする
もっとも手軽なのがExcelへの書き出しです。QuickBooks Onlineでは、各レポート画面の右上にあるエクスポートアイコンから「Export to Excel」を選ぶだけで、データがExcelファイルとしてダウンロードできます。
たとえば、Profit and Loss(損益計算書)レポートを開き、期間を指定してExcelに書き出せば勘定科目ごとの金額が一覧になったファイルが手に入ります。この時点で、Copilotに分析させる素材が整います。
Power BIに接続する
より定期的・継続的に分析したい場合は、Power BIが候補になります。ただし、ここで一点注意が必要です。かつてPower BIにはQuickBooks Online用のネイティブコネクタ(接続機能)が用意されていましたが、このコネクタはMicrosoftによって2025年8月に廃止され、現在は公式には提供されていません。すでに設定済みの自動更新も停止してしまうため、いまからPower BIで継続的に運用するには別の手段が必要です。
具体的には、CDataやCoupler.ioといったサードパーティ製のコネクタを使う、あるいはPower AutomateでQuickBooksのデータをCSVに書き出し、それをPower BIから参照して更新するといった仕組みを別途用意することになります。いずれも設定・運用の手間が増えるため、特にPower BIに慣れていない担当者がいきなり選ぶにはハードルが高いのが実情です。
当サイトの見解:まずはExcelから始めるのがおすすめ
一般的にはPower BIのほうが高機能ですが、私たちとしてはまずExcelへのエクスポートから始めることをお勧めしています。前述のとおり、かつてPower BIにあったQuickBooks用のネイティブコネクタは廃止されており、同じことを実現するにはサードパーティ製ツールや独自のAPI連携が必要になりました。設定でつまずいて結局使わなくなる、というケースはもともと少なくありませんでしたが、ネイティブ接続が使えなくなったいまはなおさらです。Excelなら日常的に使い慣れている方が多く、Copilotの効果を実感しやすいかと思います。
3. Excel Copilotで会計データを分析する
この章では、書き出したデータをExcel Copilotでどう分析するかを解説します。手順は「データを表にする」「Copilotに質問する」の2ステップとシンプルです。
Excel Copilotの最大の魅力は、関数やピボットテーブルを知らなくても、日本語で質問するだけで分析できる点にあります。
分析の下準備:データをテーブル形式にする
Copilotをうまく動かすには、データを「テーブル」として認識させる必要があります。QuickBooksから書き出したデータを選択し、Excelの「挿入」タブから「テーブル」を選ぶだけで完了します。
この一手間で、Copilotがデータの構造を正しく把握できるようになります。逆に、テーブル化していないとうまく分析できないことがあるため、注意が必要です。
自然言語で財務分析を依頼する
準備ができたら、Excel内に表示されているCopilotボタンを押します。右側にチャットパネルが表示されるため、そこに質問を入力していきます。

会計・財務の分野では、たとえば次のような依頼が実用的です。
- 「経費の勘定科目を金額の大きい順に並べて」
- 「月別の売上推移を折れ線グラフにして」
- 「粗利率(Gross Margin)を計算して列を追加して」
- 「前年同期と比べて増えた費用項目を教えて」
このように、自然な言葉で指示するだけでCopilotが計算式を組み立て、グラフを作成してくれます。データ分析AIとして、経理担当者の作業時間を大幅に短縮してくれる存在です。
実務上の注意点:数字は必ず自分で検算する
便利な一方で、AIが出した数字を鵜呑みにするのは危険です。実際に、Copilotが列の範囲を誤って集計してしまう例を何度か見てきました。最終的な数字の正しさは、必ず人間が確認するという姿勢が欠かせないかと思います。
4. Power BIとCopilotでダッシュボードを自動化する
この章では、経営者向けのダッシュボードをPower BIとCopilotで作る方法を紹介します。作成の流れは、データ取り込み・ビジュアル作成・要約の3段階です。なお、前章で触れたとおりQuickBooksからPower BIへの取り込みにはひと工夫が必要ですが、いったんデータが入ってしまえば以降のダッシュボード化はPower BIのCopilotが担ってくれます。
Power BIのCopilotを使えば、「売上と利益の推移をダッシュボードにして」と伝えるだけで、グラフやKPIカードを自動生成できます。ダッシュボードの自動化は、経営判断のスピードを上げるうえで大きな武器になります。
経営ダッシュボードに載せたい代表的な指標
飲食店やサロンなどの事業では、次のような指標をダッシュボードにまとめると効果的です。
- 売上高(月次・前年比)
- 売上原価(COGS|Cost of Goods Sold)と粗利率
- 人件費率(売上に対する給与の割合)
- 営業利益(Operating Income)
- 手元資金(Cash Balance)の推移
Copilotによる自動要約を活用する
Power BIのCopilotはグラフを作るだけでなく、ダッシュボードの内容を文章で要約してくれます。たとえば「今月の業績を要約して」と頼むと、「売上は前月比8%増、人件費率は2ポイント低下」といった説明文を生成します。
数字ばかりでは頭に入ってこないですし、例えば日本の親会社への報告資料を作る担当者の方々にとってこの要約機能は特に役立つかと思います。
5. 実務で使えるCopilot連携のユースケース
この章では、これまでの内容を踏まえた具体的な活用シーンを整理します。ご自身の業務にどう当てはまるか、イメージしながら読んでいただければと思います。
QuickBooksとCopilotの連携は、月次決算のレポート作成や経営会議用の資料づくりで特に力を発揮します。
ユースケース別の活用イメージ
導入前に押さえておきたいメリットと注意点
導入を検討するうえでは、良い面と気をつけるべき面の両方を知っておくことが大切です。
メリットは、レポート作成の時間短縮、専門知識がなくても分析できること、そして日本語での要約が得られることです。一方で注意点として、Copilotを使うにはMicrosoft 365やPower BIの有料プランが必要になる場合が多く、そして前述のとおり数字の正確性は人間が最終確認する必要がある点が挙げられます。
また、機密性の高い財務データを扱うため、社内でのデータ管理ルールを整えておくことも欠かせません。
まとめ
この記事では、QuickBooksのデータをExcelやPower BIに連携し、Microsoft Copilotで分析する方法について解説してきました。
以下に、この記事のポイントを整理しておきます。
この記事が、アメリカで事業を営む日本人・日系企業の経営者や経理担当者の方の助けになれば幸いです。