この記事でわかること
「アメリカで記帳代行を頼むと、月にいくらかかるのだろう?」
「日系の会計事務所と米系の会計事務所で、料金はどれくらい違うのだろう?」
こうした疑問を持つ方は多いのではないでしょうか。アメリカの記帳代行(ブックキーピング)の費用には、大きく分けて3つの料金体系があります。
この記事では、月額固定・時間課金・取引数連動という3つのパターンごとに、おおよその費用相場と事業規模別の目安をお伝えします。記帳代行費用の「相場観」を持っているかどうかで見積もりの妥当性判断が大きく変わってきます。読み終えていただければ、自社に合った予算感と依頼先の選び方の軸を持てるかと思います。
この記事の目次
1. アメリカの記帳代行費用「3つの料金体系」
この章では、記帳代行の料金がどう決まるのかを理解していただくために、代表的な3つの体系を整理します。それぞれ月額固定・時間課金・取引数連動の順に解説します。
結論からいえば、アメリカの記帳代行(Bookkeeping)の料金は、大きく3つの体系に分かれます。どの体系で契約するかによって、毎月の支払い額の見え方が変わってきます。
1.1. 月額固定型(Fixed Monthly Fee)
毎月一定の金額を支払う契約で、最も一般的な料金体系となっています。取引量がある程度安定している事業に向いています。
たとえば「月$500で、月間100取引までの記帳と月次レポート作成を含む」といったプランが一般的です。予算が読みやすいため、記帳業務を外注する多くの事業者がこの型を選んでいます。
その理由は、毎月の支払いが一定で資金繰りの計画が立てやすいからです。実際に私たちがサポートするクライアントでも、月額固定型で契約されているケースがほとんどです。
1.2. 時間課金型(Hourly Rate)
時間課金型は、作業にかかった時間に応じて費用が決まる契約です。会計業界では「タイムチャージ契約」と呼ばれます。取引量が月によって大きく変動する事業や単発の整理作業に向いています。
時給の相場は、担当者のスキルによって幅があります。データ入力中心の作業員(Bookkeeper)なら比較的安く、資格を持つ公認会計士(CPA)が対応すると高くなります。
一方で、時間課金型には注意点もあります。作業量が読めない月は代行費用が想定より膨らむことがあるのです。予算管理の観点では、月額固定型より不確実性が高いといえます。
1.3. 取引数連動型(Per-Transaction)
非常に稀ですが、取引数連動型の契約も存在します。取引数連動型は月間の取引件数に応じて料金が変わる契約です。事業の繁閑にあわせて費用が増減します。
具体的には、「基本料金$150+1取引あたり$1」のように、固定部分と変動部分を組み合わせる形があります。取引が少ない月は安く、増えれば料金も上がります。
このように、取引数連動型は事業の実態に応じた費用配分ができる仕組みです。したがって、季節変動が大きい飲食店や小売業などで採用されることがあるようです。
2. 事業規模別・記帳代行の月額費用の目安
ここでは、記帳代行の料金相場を具体的な数字でつかんでいただくために、個人事業主と小規模法人に分けて月額の目安を整理します。
結論からいえば、記帳代行の料金相場は事業規模で大きく変わります。個人事業主なら月$300〜$1,000、小規模法人なら月$500〜$1,500が一つの目安です。
2.1. 個人事業主・小規模法人別の月額目安表
以下は、月額固定型を前提としたおおよその月額相場です。取引量やサービス範囲によって前後します。
時給ベースで契約する場合の相場も参考までにお伝えします。担当者のレベルによって、以下のように分かれる傾向があります。
- データ入力中心のBookkeeper(= 無資格者):時給$25〜$50
- 経験豊富なBookkeeper・会計担当(= 無資格者):時給$50〜$100
- CPA(公認会計士)が対応する場合:時給$100〜$300
2.2. ブックキーピング費用に含まれる作業範囲
記帳代行の費用を比較するときは、金額だけでなく「何が含まれるか」を確認すると良いかと思います。なぜなら、同じ月額でもサービス範囲が違えば実質的なコストが変わるからです。
一般的な記帳代行に含まれる作業は、次のようなものです。
- 銀行・クレジットカードの取引記録(Transaction Recording)
- 銀行残高との照合(Bank Reconciliation)
- 月次の損益計算書(P&L)・貸借対照表(B/S)の作成
一方で、税務申告(Tax Return)や給与計算(Payroll)、売掛金・買掛金の管理(AR/AP)などは別料金となることが多いです。この点を見積もり段階で確認しておくと、後から追加費用に驚くことを避けられます。
3. 日系事務所と米系事務所の価格差と理由
この章では、多くの日本人経営者が気になる「日系と米系の料金差」を解説します。価格差の実態と、その背景にある理由を順に説明します。
結論からいえば、同じ作業範囲でも、日系事務所は米系事務所より2〜4割ほど費用が高くなる傾向があります。ただし、これには相応の理由があります。
3.1. 価格差はどのくらいか
たとえば、米系の格安オンライン記帳サービスなら月$300前後から利用できるプランもあります。一方、日本語で対応する日系事務所では、同等の内容で月$300〜$600程度が目安です。
この差だけを見ると、米系のほうが割安に感じられるかもしれません。しかし、料金の中身を比べると、単純な高い・安いでは判断しにくい部分があります。
3.2. 日系が高くなる理由
日系事務所の費用が高めになるのには、主に3つの理由があります。
- 日本語対応のコスト:バイリンガルの担当者を確保する必要があり、人件費が上がります。
- 日本本社への報告対応:日本の親会社向けに日本基準の資料を作るなど、追加作業が発生します。
- 日米双方の論点への理解:移転価格やForm 5472など、日系企業特有の論点を考慮した記帳に対応できる知識が求められます。
このように、日系事務所の料金には「日本語」と「日米双方の実務知識」という付加価値が含まれています。したがって、単純な金額比較だけでは本当のコストパフォーマンスは測れないと考えています。
3.3. 当サイトの見解
法律上は、記帳自体は誰が行っても問題ありません。ですが、私たちの実務経験からいえば、日本本社への報告義務がある日系企業や英語での細かいやり取りに不安がある経営者には、日系の会計事務所をおすすめします。
実際に、米系のサービスを使っていたクライアントが会計処理や税務申告に関する説明を求めた際、追加のやり取りで想定外の時間とコストがかかった例を何度も見てきました。目先の月額の安さだけでなく、決算・税務まで含めたトータルの手間で判断すると良いかと思います。
反対に、英語での実務に慣れていて日本への報告が不要な個人事業主であれば、米系のオンラインサービスで十分なケースも多くあります。ご自身の状況に応じて選び分けることが大切だと考えます。
4. 費用で失敗しない記帳代行の選び方
この章では、料金の妥当性を見極めて後悔しない依頼先を選ぶための、実務的なチェックポイントをお伝えします。
結論からいえば、記帳代行は「月額の安さ」ではなく「作業範囲・使用ソフト・追加費用の有無」の3点で比較すると失敗が減ります。
4.1. 見積もり比較で確認すべき3点
複数の事務所から見積もりを取る際は、次の3点をそろえて比べると良いかと思います。
- 作業範囲:記帳のみか、月次レポートや税務申告まで含むか。
- 使用ソフト:QuickBooksなどの利用料が月額に含まれるか、別料金か。
- 追加費用の条件:取引数の上限や超過時の追加料金の有無。
これらをそろえずに金額だけを比べると、後から「思ったより高かった」となりがちです。たとえば、月$200のプランでも取引が上限を超えると追加料金が発生し、結果的に$500になってしまうことも考えられます。
4.2. 記帳を「外注する」か「自社で行う」かの判断軸
記帳を外注すべきか、自社で行うべきか迷う方も多いかと思います。判断の目安をお伝えします。
月間取引が50件を下回り、経営者自身が会計ソフトを扱える場合は、自社で記帳して決算だけ会計士に依頼する方法もあります。一方、取引が増えてきたり、本業に集中したい場合は、記帳代行費用の相場を踏まえて外注を検討すると良いかと思います。
アメリカで記帳を外注する費用は、前述のとおり月$300〜$1,500が中心帯です。経営者自身の時間単価と比べて外注したほうが割安になるなら、外注を選ぶ合理性があります。
まとめ
この記事では、アメリカの記帳代行の費用について、3つの料金体系・事業規模別の目安・日系と米系の価格差・選び方の観点から解説してきました。
以下に、この記事のポイントを整理しておきます。
この記事が、アメリカで記帳代行の費用を検討している日本人・日系企業の方の助けになれば幸いです。