頂いたご質問
アメリカでSaaSを開発するスタートアップを立ち上げ、まもなく1期目の決算を迎えます。記帳はQuickBooksで自分たちで回してきました。近く資金調達を控えていて費用は抑えたいのですが、決算と法人税申告まで自社でやってしまって問題ないでしょうか。
当サイトの回答
結論から申し上げると、貴社のご状況では少なくとも税務申告については、会計事務所に依頼されたほうが安心できるかと思います。
細かい論点については別途ご相談いただければと存じますが、日本との違いという一般的な話で申し上げますと、日本は制度が全国で一律で、間違えても修正申告で収まることが多い一方で、アメリカは申告のハードルは低いものの、連邦と州で別々の制度があり、かつ州ごとに税制が異なることや一部の申告については罰則が非常に重い(未申告に対して数万ドルの罰則が設けられている場合もあります)ため、基本的にはアメリカの税務申告は会計事務所にご依頼されることをおすすめします。
特に今回は資金調達を検討されているとのことで、例えば創業株のVestingやSAFE投資などの資本取引に関する税務処理は調達時のデューデリジェンスで必ず見られる部分かと思います。また、R&D税額控除など自社申告だと存在に気づかないまま流れることが多い税務メリットもあります。
税務申告を自社で実施することによって節約できる費用はおそらく数千ドルだと思います。一方、資本勘定や税制選択の漏れがデューデリジェンスで出てしまうと、過年度の作り直しになり、資金調達のスケジュールそのものが動きかねません。従いまして、少なくとも税務申告については会計事務所にご依頼される、もしくは会計士に必要に応じて相談をしながら申告を進められることをおすすめします。
また決算については、基本的にQuickBooksで自力でやられても問題ないかと思いますが、特に税制に絡む論点や判断に迷う場合には会計士にご相談されることをおすすめします。なぜなら、決算は税務申告のベース・前提になる情報ですので、税務申告のタイミングで決算に誤りがあったことが判明してしまうと、税務申告のスケジュールに影響が及びます。実務でも非常に多いケースでして、特に帳簿だけ自社でご対応いただく場合によく起きる印象です。デューデリジェンスの際にも、税務申告の遅延やペナルティが発生していないことは検査する側の心象に影響を与える部分もありますので、スムーズで抜け漏れのない決算・税務申告を意識されるとより良いのかと思います。