QuickBooks(クイックブックス)でのBill支払い方法 | Expense・Checkとの違いもわかりやすく解説

2026.06.24
経理・記帳

この記事を書いた人トム | アメリカの会計士
米国の日系会計事務所にて、会計・税務・労務を中心としたバックオフィス業務と業務効率化のご支援をしています。些細なことでもお気軽にご質問ください。

「QuickBooksでExpenseとBillの違いがよくわからない…」
「支払いを記録するとき、どの画面から入力すればいいの?」

こうした疑問を持つ方は少なくないと思います。QuickBooksの支払い処理でつまずく原因の多くは、取引タイプの選び方を間違えていることにあります。ExpenseとBillでは買掛金(Accounts Payable)の計上が変わり、結果として帳簿の正確性に影響してきます。

この記事では、3つの取引タイプ(Expense・Check・Bill)の違いから、Bill入力と「Pay Bills」の流れ、支払手段別の記録方法までを順番に整理していきたいと思います。読み終えていただければ、自社の支払い処理をどの方法で記録すべきかを判断しやすくなるかと思います。

1. Expense・Check・Billの違い

QuickBooksでの支払い記録は、まずこの3つの取引タイプの違いを理解することから始まります。ここを混同したまま入力を続けると、買掛金の残高が合わなくなる原因になります。この章では、それぞれがどんな場面で使うものなのかを整理したいと思います。

取引タイプ 支払いのタイミング 買掛金の計上
Expense 支払い済み(即時) なし
Check 小切手で支払い なし
Bill 後払い あり(Pay Billsで消込)

1.1. Expense(経費)はその場で支払い済みの取引

Expenseは、すでに支払いが完了している取引を記録するための機能です。たとえば、クレジットカードでオフィス用品を買った、デビットカードでガソリン代を払った、といったケースです。

支払いと費用の発生が同時なので、買掛金は発生しません。「お金が出ていった事実」をそのまま記録するイメージです。

1.2. Check(小切手)は小切手で支払う取引

Checkは、その名の通り小切手を切って支払う場合に使います。Expenseと同じく、支払いが完了した(あるいはこれから小切手を発行する)取引を記録するものです。

QuickBooks上でCheck番号を管理できるため、後から「どの小切手で何を払ったか」を追いやすくなります。なお、QuickBooksは物理的な小切手の印刷にも対応しています。

1.3. Bill(請求書)は後払いの買掛金を計上する取引

Billは、支払いがまだ済んでいない請求書を記録する機能です。これがExpenseやCheckと決定的に違う点になります。

たとえば、仕入先から「30日以内にお支払いください」という請求書(インボイス)を受け取ったとします。この時点ではまだ払っていません。そこでBillとして入力すると、QuickBooksは買掛金(Accounts Payable)として計上します。

そして実際に支払うときに、後述するPay Bills機能で消し込む流れになります。つまり、Billとは「払う義務はあるが、まだ払っていない金額」を管理するための仕組みだと考えていただくと良いです。

2. 「Bill」入力から「Pay Bills」までの基本の流れ

ここからは、「Bill」機能を使った後払いの管理の流れを具体的に見ていきます。手順は大きく2ステップに分かれます。請求書を受け取ったときの「Bill入力」と、実際に支払うときの「Pay Bills」です。

ステップ1:請求書を受け取ったらBillを入力する

仕入先から請求書を受け取ったら、まず「+New」から「Bill」を選んで入力します。入力する主な項目は次の通りです。

  • Vendor(仕入先):誰からの請求かを選びます
  • Bill date / Due date:請求日と支払期限を入力します
  • Category または Item:費用の勘定科目や品目を選びます
  • Amount(金額):請求額を入力します

ここで保存すると、QuickBooksは自動的に買掛金(Accounts Payable)を増やします。この段階ではまだお金は動いていません。「払うべき金額がある」という状態が帳簿に記録されただけです。

Due dateを正しく入れておくと、支払期限の管理がぐっと楽になります。期日が近い請求書を一覧で確認できるため、支払い漏れを防ぎやすくなるかと思います。

ステップ2:Pay Billsで実際に支払う

支払いのタイミングが来たら、「+New」から「Pay Bills」を選びます。QuickBooks Pay Billsは、入力済みのBillをまとめて支払い処理するための機能です。

画面には未払いのBillが一覧で表示されます。支払う請求書にチェックを入れ、支払元の口座(Bank account など)と支払日を選んで実行します。

この処理を行うと、買掛金が減り、選んだ口座から金額が出ていく仕訳が自動で作られます。これでBillの消し込みが完了します。

よくある間違い:Billを入力したのに再びExpenseで払ってしまう

実務でよく見かけるのが、すでにBillとして入力した請求書を、支払う際にPay BillsではなくExpenseやCheckで二重に記録してしまうケースです。

こうすると買掛金がいつまでも残ったまま、費用も二重に計上されてしまいます。「Bill機能を使って入力したものは必ずPay Billsで支払い処理をし、ExpenseやCheck機能は使わない」という点に注意が必要です。

3. 支払手段別の記録の違い

Pay Billsで支払う際、ACH・クレジットカード・小切手・現金など、手段によって記録の仕方が少しずつ変わります。この章では、それぞれの注意点を整理したいと思います。基本の考え方は「どの口座(アカウント)から支払うか」を正しく選ぶことです。

支払手段 支払元に選ぶ口座 注意点
ACH 銀行口座 引落日のズレに注意
クレジットカード カード口座 負債として計上される
小切手 銀行口座 小切手番号を記録
現金 小口現金口座 領収書を保管

3.1. ACH(銀行振込)で支払う場合

ACHは、アメリカで一般的な銀行間の電子送金です。Pay Bills画面で支払元として「Checking(普通預金口座)」などの銀行口座を選びます。

実際の入金確認は銀行明細(Bank Feed)との照合で行います。支払日と銀行から実際に引き落とされた日にズレが出ることがあるので、消込のタイミングに注意すると良いかと思います。

3.2. クレジットカードで支払う場合

カードで支払う場合は、支払元として銀行口座ではなく「Credit Card account(クレジットカード口座)」を選びます。

カード払いの場合は、その時点で銀行からお金が出るわけではありません。カードという「負債」が増える形になります。後日カードの請求が来たときに、銀行口座からカード会社へ支払う処理を別途行うことになります

3.3. 小切手で支払う場合

小切手で支払う場合は、Pay Bills画面で「Check」を選び、小切手番号を入力します。物理的な小切手を印刷したい場合は「Print later」を選んでおくと、後でまとめて印刷できます。

小切手番号を記録しておくと、銀行明細との照合がしやすくなります。発行したはずの小切手が相手にまだ換金されていない(未取立)状態も追いやすくなるかと思います。

3.4. 現金で支払う場合

現金での支払いはアメリカの事業ではそれほど多くありませんが、小口現金(Petty Cash)から払うケースがあります。

この場合は、Pay Billsの支払元として「Cash on hand」や「Petty Cash」といった現金管理用の口座を選びます。現金は記録が漏れやすいので、領収書(エビデンス)をしっかり保管しておくことをおすすめします。

当サイトの見解

ここまでExpense・Check・Billの使い分けを解説してきましたが、実務の現場では「すべてをBillで管理する必要はない」というのが当サイトの見解です。

実務経験を踏まえると、支払期限の管理が必要な取引だけBillを使い、その場で払うものはExpenseでシンプルに記録するのが運用しやすいケースが多いです。

たとえば、毎月30日後払いの主要な仕入先はBillで管理し、コンビニで買った文房具などの少額な即時払いはExpenseで記録する、といった切り分けです。すべてをBillにすると、Pay Billsの消込作業が増えてかえって煩雑になりがちです。

一方で、買掛金を正確に把握したい場合や複数の請求書をまとめて支払う場合は、Bill+Pay Billsの組み合わせが効果を発揮します。自社の取引の性質に合わせて使い分けることが、無理なく続けられる経理のコツかと思います。

まとめ

この記事では、QuickBooksにおけるExpense・Check・Billの違いと、Bill入力からPay Billsまでの流れ、支払手段別の記録方法について解説してきました。

以下に、この記事のポイントを整理しておきます。

QuickBooks 3つの取引タイプ ― 支払い済みか・未払いかで使い分ける
取引タイプ 支払いのタイミング 買掛金(A/P)の計上 使う場面
Expense
経費
支払い済み
(即時)
なし カード・デビットでその場で支払い済み
Check
小切手
小切手で支払い なし 小切手を切って支払う(Check番号で管理)
Bill
請求書
後払い あり
(Pay Billsで消込)
「30日以内に支払」など後払いの請求書を受領

この記事が、アメリカでQuickBooksを使って買掛金管理や支払い記録に取り組む方の助けになれば幸いです。

アメリカの会計士

出身:愛知県 所属会計事務所:日系会計事務所(ニューヨーク・ロサンゼルスにオフィスがございます) 米国公認会計士として、アメリカ現地で日系企業や個人事業主のバックオフィス支援に携わっています。あわせてAIによるデータ分析の修士号を持っており、日々の実務でもAIを最大限に活用しながら、「AIに任せられる部分は任せ、最後の砦は人が担う」という進め方を大切にしています。 アメリカでの起業や会社運営には、日本では聞き慣れない専門用語が多く、特に会計士や税理士の業務は「何をしているのか分かりにくい」領域だと感じています。ご相談をお受けする際には、なるべく難解な言葉を使わず、次に何をすればよいかが明確になるご説明を心がけています。皆様の不安や負担を少しでも軽くし、本業に安心して集中していただける体制づくりに貢献できればと思っております。 会計士や税理士に相談するのは少しハードルが高い——そう感じる方もいらっしゃるかもしれません。そのような方は、まずはこのサイトをご覧いただき、私や会計・税務、そしてAIの実務への活用を、少し身近に感じていただければ嬉しく思います。 アメリカでの経理や確定申告、バックオフィスまわりへのAI活用など、些細なことでもお気軽にお問い合わせください。

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