この記事でわかること
「お客様から入金があったけれど、QuickBooksでどう記録すればいいのか分からない…」
「売上が実際より多く計上されているのはなぜだろう?」
こうした疑問を持つ方は少なくないと思います。QuickBooksの入金処理でつまずく最大の原因は「Receive Payment(入金処理)」と「Sales Receipt(売上記録)」の使い分けにあります。請求書を発行した取引について入金を別の方法で記録してしまうと、売上が二重に計上されてしまうからです。この記事では、Receive Paymentの正しい手順とUndeposited Funds(未預金資金)を経由した入金口座への流れを解説します。読み終えていただければ、入金処理の事故を防ぎながら、正確な帳簿をつけられるようになるかと思います。
1. Receive Payment(入金処理)の基本
この章では、QuickBooksの「Receive Payment」がどういう機能なのか、なぜ正しく使う必要があるのかを整理します。手順の前に「いつ使うのか」を理解することが事故防止の第一歩になります。
Receive Paymentはいつ使うのか
結論からいえば、Receive Paymentは「すでに請求書(Invoice)を発行した取引」で入金があったときに使う機能です。
なぜなら、QuickBooksでは請求書を発行した時点で売上が計上されるからです。たとえば、お客様に$1,000の請求書を送ると、その瞬間に売上$1,000と売掛金(Accounts Receivable)$1,000が記録されます。後日お客様が支払ったときにReceive Paymentで処理すると、売掛金が消えて入金として記録されます。これを「入金消込」と呼びます。
一方で、請求書を発行していない取引(その場で現金をもらう小売など)では、Sales Receiptという別の機能を使います。この使い分けを間違えると、売上が二重に計上される事故につながります。
入金消込とは何か
入金消込とは、発行済みの請求書に対して「この入金はこの請求書の分です」と紐づける作業のことです。
具体的には、Receive Payment画面で対象の請求書にチェックを入れると、その請求書が「未払い(Open)」から「支払い済み(Paid)」に変わります。複数の請求書をまとめて一度に消込することもできます。たとえば$500と$300の請求書が未払いで、お客様が$800をまとめて振り込んできた場合、両方にチェックを入れて一括処理できます。
2. Receive Paymentの手順
ここからは実際の操作手順を解説します。入金処理は大きく4ステップに分かれます。お客様の選択・請求書の選択・支払方法の入力・入金先の指定の順に進めます。
- Receive Payment画面を開く
- 顧客を選び、請求書を選択する
- 支払方法と入金日を入力する
- 入金先(Deposit to)を指定する
ステップ1:Receive Payment画面を開く
まず、画面右上の「+ New」ボタンをクリックします。次に表示されるメニューから「Receive Payment」を選びます。これでQuickBooks Receive Paymentの入力画面が開きます。
ステップ2:顧客を選び、請求書を選択する
「Customer」の欄で入金してきたお客様を選びます。お客様を選ぶと、そのお客様あての未払いの請求書が一覧で表示されます。
入金に対応する請求書にチェックを入れます。ここがQuickBooksでの入金の記帳でもっとも重要な操作です。必ず該当する請求書を選んでから次に進むようにしてください。請求書を選ばずに金額だけ入力すると、入金が「前受金(Unapplied Payment)」として宙に浮いてしまい、売掛金がいつまでも消えません。
ステップ3:支払方法と入金日を入力する
「Payment date」に実際に入金があった日付を入力します。「Payment method」で支払方法(Cash・Check・Credit Cardなど)を選びます。小切手の場合は「Reference no.」に小切手番号を入れておくと、後で照合しやすくなります。
ステップ4:入金先(Deposit to)を指定する
最後に「Deposit to」で、この入金をどこに記録するかを選びます。詳しくは次のセクションで解説します。ここで選べる先は主に2つです。
- 銀行口座(Checking等)を直接選ぶ:入金がすぐに銀行に反映される場合(Direct Depositなど)に使います。
- Undeposited Funds(未預金資金)を選ぶ:現金や小切手で受け取り、後でまとめて銀行に預け入れる場合に使います。
入力が終わったら「Save and close」で保存します。これで入金処理は完了です。
3. 支払方法別の記録方法
この章では、現金・小切手・Direct Depositそれぞれで「Deposit to」をどう選ぶべきかを解説します。支払方法によって正しい入金先が変わるため、ここを押さえると帳簿と銀行残高がきれいに一致します。
現金・小切手で受け取った場合
現金や小切手で受け取った場合は、「Deposit to」でUndeposited Fundsを選ぶことをおすすめします。
なぜなら、現金や小切手は受け取った日と、実際に銀行へ預け入れる日がずれることが多いからです。たとえば月曜に3人のお客様から小切手を受け取り、水曜にまとめて銀行へ持っていくケースを考えてみます。一度Undeposited Fundsにためておけば、水曜に3枚をまとめて1つの預け入れとして記録できます。これが銀行口座の取引明細とぴったり一致するため、後のBank Reconciliation(銀行照合)が楽になります。
Direct Deposit(口座振込)で受け取った場合
お客様が銀行口座へ直接振り込んできた場合は、「Deposit to」で該当の銀行口座を直接選んで問題ありません。
というのも、振込はすでに銀行に着金しているため、Undeposited Fundsを経由する必要がないからです。直接銀行口座を選べばその入金が口座に記録され、銀行明細とも一致します。
支払方法別の入金先まとめ
4. Undeposited Funds から入金口座への流れ
この章は、現金や小切手で入金を受けた方には必ず読んでいただきたい内容です。Undeposited Fundsに入れたままにすると、銀行残高と帳簿が永遠に一致しないからです。
Undeposited Funds とは何か
Undeposited Fundsとは、受け取ったけれどまだ銀行に預け入れていないお金を一時的にためておく「箱」のような勘定科目です。
たとえば、財布や金庫に小切手をしまっている状態をイメージすると分かりやすいかもしれません。Receive PaymentでUndeposited Fundsを選ぶと、お金はこの箱の中に入ります。この時点ではまだ帳簿上の銀行口座の残高には反映されていません。
Bank Deposit で銀行口座へ移す
銀行へ実際に預け入れたら、QuickBooksでも「Bank Deposit(預け入れ)」の操作をする必要があります。
手順は次のとおりです。
- 「+ New」から「Bank Deposit」を選ぶ
- 「Account」で実際に預け入れた銀行口座を選ぶ
- Undeposited Fundsにたまっている入金の一覧から、今回預け入れたものにチェックを入れる
- 合計金額が銀行の預け入れ伝票と一致することを確認して保存する
これで、お金がUndeposited Fundsという箱から銀行口座の残高へ移動します。実際の銀行明細に表示される1件の預け入れと、QuickBooks上の1件のBank Depositが対応するため、照合がスムーズになります。
5. 入金を二重売上にしてしまう事故を防ぐ
この章では、QuickBooksの入金処理でもっとも多い「二重売上」の事故と、その防ぎ方を解説します。これを知らないと、利益が実際より多く見えてしまい、税金の払いすぎにもつながりかねません。
なぜ二重売上が起きるのか
二重売上が起きる最大の原因は、請求書を発行した取引なのに、入金をReceive Paymentではなく別の方法で記録してしまうことです。
たとえば、$1,000の請求書を発行した後、お客様が振り込んできたとします。このとき、銀行連携(Bank Feed)で取り込んだ入金をReceive Paymentに紐づけず、「売上(Sales Income)」として新たに記録してしまうケースがよく見られます。
この場合、「請求書で計上した売上$1,000」と「入金で新たに記録した売上$1,000」が二重に計上されます。さらに、元の請求書は「未払い」のまま残り、売掛金もいつまでも消えません。
事故を防ぐ3つのチェックポイント
二重売上を防ぐために、次の3点を確認するとよいかと思います。
- 請求書を発行した取引は、必ずReceive Paymentで入金処理する
銀行連携で取り込んだ入金は、新規の売上ではなく「Match(照合)」で既存の請求書・入金に紐づける。 - 定期的に「未払い請求書(Open Invoices)」レポートを確認する
入金済みなのに未払いのまま残っている請求書があれば、入金が正しく消込されていないサインです。 - Undeposited Fundsの残高をチェックする
金額が膨らみ続けている場合、Bank Depositの処理を忘れている可能性があります。
当サイトの見解
会計の理屈としては「請求書を発行したらReceive Paymentで消込する」という一文に尽きます。しかし、実際にクライアントの帳簿を見てきた経験から言えば、二重売上の大半は銀行連携(Bank Feed)の使い方が原因です。
というのも、銀行明細から取り込んだ入金に対し、QuickBooksが「Add(新規追加)」と「Match(照合)」のどちらを提案するか、画面をよく見ずに「Add」を押してしまうケースがとても多いからです。Addを押すと新しい売上が作られ、二重計上になってしまいます。
銀行連携で入金を処理するときは、必ず「Match」の候補が出ていないか一度立ち止まって確認することをおすすめします。請求書を発行している取引であれば、ほとんどの場合Matchの候補が表示されるはずです。月末にOpen Invoicesレポートをざっと見る習慣をつけておくと、万一の見落としも早めに気づけるかと思います。
まとめ
この記事では、QuickBooksの入金処理(Receive Payment)の手順と、二重売上を防ぐためのポイントについて解説してきました。
以下に、この記事のポイントを整理しておきます。
この記事が、アメリカでQuickBooksを利用して経理に取り組む方の助けになれば幸いです。