アメリカのPOSシステム | 日系のお店で検討される主要なPOSシステム3つと選定ポイントをご紹介

2026.05.10
会社運営・各種届出

この記事を書いた人トム | アメリカの会計士
米国の日系会計事務所にて、会計・税務・労務を中心としたバックオフィス業務と業務効率化のご支援をしています。些細なことでもお気軽にご質問ください。

この記事でわかること


  1. 日系のお店で検討されるPOSシステム3つ(Square・Toast・Clover)の特徴
  2. 月額無料のPOSシステムが必ずしもコストを抑えられるとは限らない理由
  3. POSシステムを選ぶ際に確認すべき3つのチェックポイント

「アメリカのPOSシステムは種類が多すぎて、何を基準に選べばいいのかわからない。」
「月額料金が無料のシステムを選べばコストを抑えられると思っているけれど、本当にそうなのか?」

こうした疑問を持つ方は少なくないと思います。当サイトの調べによると、アメリカには大小合わせて250社以上のPOSシステムを提供する企業があるといわれており、一般に広く使われている主要なものだけでも20社を超えています。その中から自社のビジネスに合ったシステムを見つけることは、容易ではないと思います。

この記事では、日系のお店で検討される主要POSシステム3つ(Square / Toast / Clover)の特徴とそれぞれが適しているケースPOSシステムを選ぶ際のポイントについてご紹介してきたいと思います。

1. 主要なPOSシステムの比較

このセクションでは、日本人や日系企業がアメリカで開業する際によく検討される3つのPOSシステムをご紹介します。

  • Square(スクエア)
  • Toast(トースト)
  • Clover(クローバー)

まずSquareを取り上げ、その後はSquareを基準として他の2システムとの違いを中心にご紹介していきます(Squareは無料プランから始められるシンプルさと高い普及率から、アメリカで初めてPOSシステムを導入する際の比較対象として適しているためです)。

Square(スクエア)

小売店・飲食店・サービス業など幅広い業種の小規模ビジネス、とりわけこれから初めてお店を開く方やコストを抑えてスタートしたい個人事業主の方に特に向いているシステムです。

Square(スクエア)は、もともとスマートフォンに差し込む小さなカードリーダーから始まったサービスです。NerdWalletというアメリカの有名なレビューサイトにおいても満点評価を獲得しており、全米で最も普及しているPOSシステムのひとつと言えます。

Squareの最大の強みは、導入のハードルの低さにあります。月額ソフトウェア料金が$0の無料プランから始められ、カードリーダーの端末も基本的に無料で入手できます。長期契約や解約手数料などもなく、気軽に試せるという点は新規開業者にとって大きな安心材料かと思います。また、すべてのプランに無料のオンラインストア機能が含まれており、実店舗とオンライン販売を同時に立ち上げることも可能になっています。

決済手数料(決済1件あたりのコスト)は対面取引で2.6% + $0.15、オンライン取引で3.3% + $0.30です(2026年4月時点)。無料プランでも十分な機能が使える一方で、この手数料は競合他社と比べるとやや高めに設定されています。取引件数や売上の規模が大きくなるほどこのコストが積み上がるため、ビジネスの規模が拡大してきた段階では改めてPOSシステムを検討し直すことをおすすめします。

機能面では、売上管理・在庫追跡・顧客管理(CRM)・タイムカード管理など、小規模なビジネスに必要な機能がひとつのプラットフォームにまとまっています。給与計算(Square Payroll)など関連サービスとの連携もスムーズで、バックオフィス全体をSquareで一元管理したいという方にも適していると言えます。

Toast(トースト)

テーブルで注文を取り料理を運ぶ形式の飲食店、いわゆるフルサービスレストランやテーブル管理・予約機能が必要な中規模以上の飲食店に特に向いているシステムです。カフェやバーなどの小規模な店舗にはSquareで十分なケースが多いですが、本格的なレストラン・飲食店の運営を想定している場合にはToast(トースト)も検討されると良いかと思います。

Toast(トースト)はSquareの最大の違いは、飲食店向け機能の充実度コストです。

まずは飲食店向け機能について、Toastはレストラン運営に特化した仕様になっています。例えば、ハードウェアは水や油、熱に耐えられる飲食店仕様で設計されており、ピザのサイズによってトッピングの価格が変わるといった複雑な注文カスタマイズにも対応しています。また、通常のレジ端末やハンディ端末に加え、顧客が自分で注文・決済できるセルフオーダーキオスク、テーブルに着いたままスマートフォンで注文・支払いができるMobile Order & Pay、Toast独自のテイクアウトアプリ、そしてPOSシステムと直結したオンラインの注文ページと、一般に飲食店が求めるさまざまな注文の受付手段に対応しています。

一方でコスト面では、ToastはSquareと比べてトータルのランニングコストが大きくなる傾向があります。飲食店向けに特化した機能の充実度や顧客ごとにカスタマイズされたプランを考慮すると、妥当とも言えるかもしれません。また実務的な面では、QuickBooksなどの会計ソフトとの連携はSquareでは追加料金なしで実施可能ですが、Toastでは別途費用が発生してしまいます。さらには契約の期間は原則2年間で、早期解約には違約金が発生するため、導入前にトータルコストをしっかり試算しておくことが重要になります。

Clover(クローバー)

小売店・飲食店・サービス業など幅広い業種に対応しており、特にある程度売上が出てきたフェーズや決済手数料を抑えたい方に向いているシステムです。

CloverとSquareの最大の違いは、決済代行業者を自由に選べるかどうかです。具体的には、Squareは自社の決済処理のみに対応していますが、Cloverは3,000社以上の決済代行業者と連携しており、自分でより条件の良い決済業者を選ぶことができます。決済手数料の差がたとえ0.3%だったとしても、売上規模が大きくなればなるほど決済手数料の大幅な節約につながる可能性があります。

一方で注意すべき点もいくつかあります。Cloverのハードウェアは品質が高い分、Squareと比べて初期費用が高めになる傾向にあります。また、通常よりも価格の安いプロモーション価格を適用する場合は3年という長期契約が必要となるため(2026年4月時点)、早期解約には違約金が発生することもありますので、Squareに比べて導入ハードルは高いと言えます。

また、Cloverは販売代理店を通じて販売されるケースが多く、代理店によって契約の内容や手数料に大きく差が出ることも多いため、契約の際には複数者から見積もりをもらったうえで検討されることをおすすめします。

なお、一部の現地日系企業はこのCloverの販売代理店として販売を行っています。中立性を担保するため会社名は差し控えますが、日本語のサポートも提供されているようです。当サイトの調べではSquareやToastには日本語でサポートしてくれる窓口や販売代理店は無さそうですので、日本語でのサポートが必要な場合にはCloverが有力な選択肢の一つになるかと思います。

2. 選ぶ際のポイント

POSを選ぶ際には「自社に必要な機能が備わっているか」「ランニングコストの総額はいくらか」「トラブル時のサポートはしっかりしているか」という3点を軸に検討されることをおすすめします。なかでも3つ目のサポート体制は見落とされがちですが、カスタマーサポートの品質が概して高くないアメリカでは、いざというときに頼れる窓口があるかどうかは非常に大きな安心材料になります。導入前に各サービスのカスタマーサポートの対応やレビューサイトの評価をしっかりチェックしておくことをおすすめします。

チェックポイント1:自社に必要な機能

まず、自分の業種・規模・運営スタイルに必要な機能を書き出すことから始めるとよいかと思います。飲食店であれば、テーブル管理やキッチンディスプレイとの連携が必要かどうか。小売店であれば、バーコードスキャンや在庫管理の機能が十分かどうか。サービス業であれば、予約管理との連動が可能かどうか。各サービスのデモを試す際には、こうした自社に必要な(もしくは、今後必要になりそうな)基本機能をまず確認するとよいかと思います。

チェックポイント2:ランニングコストの総額を正しく計算する

POSシステムのコストを考えるとき、月額利用料が無料となっているシステムはとても魅力的に見えると思います。一方で、POSシステムのコストは月額利用料だけではありません。各システムを比較・検討される際には以下の4つをメインに考えておくと良いかと思います。

  1. POSの月額利用料
  2. クレジットカード決済手数料
  3. カスタマーサポート料(プランによっては別途となる場合あり)
  4. 初期の設備及び消耗品の費用(決済端末、レシート用紙など)

このうち、金額として最も大きな割合を占めるのはクレジットカード決済手数料かと思います。月額利用料を無料にしているシステムは、実質的にその分をカード手数料に上乗せして収益を確保している場合がほとんどです。そのため「月額利用料が無料=トータルで安い」とは限らない点に注意が必要です。特に、売上規模が大きくなるほど決済手数料が積み重なってコスト差が開く傾向にあります。POSシステムのコストを比較する際は、必ず自社の売上規模に合わせた試算をしてみることをおすすめします。

チェックポイント3:サポート品質はどうか

アメリカで生活されている方であれば分かるかと思うのですが、どんなに大手のカスタマーサポートであってもタイムリーに電話が繋がらなかったり、折り返すと言っていたのに折り返しの連絡が来なかったりということは残念ながら頻繁にあります。どのPOSシステムの会社も「24時間365日のサポート体制」を強調していたりしますが、あまり100%信用しない方が良いかと思います。

その中で、各社のサポート品質を見極めるには、Software Reviewsなどのレビューサイトの顧客の評価を入念にチェックするというのが一番確実だと思っています。返答までの速さや担当者の知識レベル、問題が実際に解決されているかどうかを第三者のレビューで事前に確かめることをおすすめします。もちろん、カスタマーサポートは担当者によって品質が大きく変わりますが、少なくとも悪いレビューの多いサービスは(担当者だけではなく)その会社のカスタマーサポート体制に欠陥があるケースが多いので、そうした悪い評価があまりに多いPOSシステムの利用は避けるのが無難です。

まとめ

この記事では、日系のお店で検討される主要POSシステム3つ(Square / Toast / Clover)の特徴とそれぞれが適しているケース、POSシステムを選ぶ際のポイントについてご紹介してきました。

以下に、この記事のポイントを整理しておきます。

アメリカの主要POSシステム比較
比較項目 Square Toast Clover
向いている業種 飲食・小売・
サービス全般
飲食店 飲食・小売・
サービス全般
特徴 直感的な操作性
導入ハードルが低い
飲食店向けの機能が充実
導入ハードルが高い
決済手数料が低く抑えられる
導入ハードルが高い
コスト感 低〜中
(代理店により変動)
主な注意点 ・シフト管理等が段階的に有料化 ・契約は最低2年から
・会計ソフト連携には追加料金
・代理店ごとに手数料・契約内容が異なる
・特別価格適用は3年契約から
こんな人に
おすすめ
初めて開業する
スモールビジネス
席数の多い
フルサービスレストランなど
決済手数料を抑えたい・
ある程度売上が出てきた事業者

この記事が、アメリカで飲食店・小売店・サービス業などの開業を検討されている方の助けになれば幸いです。

アメリカの会計士

出身:愛知県 所属会計事務所:日系会計事務所(ニューヨーク・ロサンゼルスにオフィスがございます) 米国公認会計士として、アメリカ現地で日系企業や個人事業主のバックオフィス支援に携わっています。あわせてAIによるデータ分析の修士号を持っており、日々の実務でもAIを最大限に活用しながら、「AIに任せられる部分は任せ、最後の砦は人が担う」という進め方を大切にしています。 アメリカでの起業や会社運営には、日本では聞き慣れない専門用語が多く、特に会計士や税理士の業務は「何をしているのか分かりにくい」領域だと感じています。ご相談をお受けする際には、なるべく難解な言葉を使わず、次に何をすればよいかが明確になるご説明を心がけています。皆様の不安や負担を少しでも軽くし、本業に安心して集中していただける体制づくりに貢献できればと思っております。 会計士や税理士に相談するのは少しハードルが高い——そう感じる方もいらっしゃるかもしれません。そのような方は、まずはこのサイトをご覧いただき、私や会計・税務、そしてAIの実務への活用を、少し身近に感じていただければ嬉しく思います。 アメリカでの経理や確定申告、バックオフィスまわりへのAI活用など、些細なことでもお気軽にお問い合わせください。

あなたへのおすすめ記事

調べたい答えが見つからない場合はお気軽にご質問ください。
匿名で質問する(最短即日回答)
目次