アメリカで法人税(法人所得税)が安い州はどこ?州による違いと注意点を米国公認会計士が解説

2026.02.18
税務・確定申告

この記事を書いた人トム | アメリカの会計士
米国の日系会計事務所にて、会計・税務・労務を中心としたバックオフィス業務と業務効率化のご支援をしています。些細なことでもお気軽にご質問ください。

「アメリカで会社を作るなら、法人税が安い州はどこなのか」
「州によってどれくらい税率が違うのか?日本の制度との違いは?」

こうした疑問を持つ方は少なくないと思います。アメリカでは、連邦税に加えて州税が課されるため、どの州で会社を設立・事業展開するかによって法人税の実効税率(= 実質的に負担するトータルの税率)が変わってきます。日本においても、国税に加えて地方税が存在し、地方自治体によって若干の差は生じますが、基本的な税体系や税率水準は全国で大きくは変わりません。一方、アメリカでは州ごとに税制そのものが異なり、法人税(法人所得税)が存在しない州もあれば、比較的高い税率を設定している州もあります。この点が日本の制度との大きな違いです。

この記事では、州ごとの税制の違いに着目し、法人税(法人所得税)負担という観点から見た州選びの考え方と注意点をわかりやすく解説していきます。

アメリカ法人所得税の基本構造

まず最初に、アメリカにおける法人税(法人所得税)の制度について簡単にご紹介します。アメリカの法人税は大きく分けて連邦レベルの税金州ごとに課される税金の二層構造になっています。連邦法人所得税の税率は現在一律21%ですが、州レベルの税率については州ごとに制度や税率が大きく異なります。州によっては法人所得税そのものが存在しないところもあれば(テキサス州、ネバダ州など)、比較的高い税率を設定している州もあります(ニューヨーク州、カリフォルニア州など)。

法人税におけるとアメリカと日本との違いをわかりやすく解説している図解

アメリカで法人税(法人所得税)が安い州

税金の負担が軽い州として一般的に注目されるのは、州レベルで法人所得税が課されない州です。代表的な州としては、ネバダ州、ワイオミング州、サウスダコタ州などが挙げられます。これらの州では州法人所得税そのものが存在しないため、単純に所得税率だけを比較すると有利に「見える」ことが多いです。

州レベルの法人所得税が存在しない州(2026年2月時点)

  • ネバダ州(Nevada)
  • ワイオミング州(Wyoming)
  • サウスダコタ州(South Dakota)
  • テキサス州(Texas)
  • ワシントン州(Washington)
  • オハイオ州(Ohio)

また、法人所得税率の比較的低い代表的な州は以下のとおりです。これらの州も、単純に所得税率だけを比較すると有利に「見える」ことが多いです。

法人所得税率の低い州の代表例(2026年2月時点)

  • コロラド州(Colorado)
  • フロリダ州(Florida)
  • ミズーリ州(Missouri)
  • ノースカロライナ州(North Carolina)
  • オクラホマ州(Oklahoma)
  • サウスカロライナ州(South Carolina)
  • ユタ州(Utah)

ここまで、あえて「見える」と申し上げてきたのには訳があります。この点については、次のセクションで詳しく解説していきます。

「法人税(法人所得税)」だけをみて州を選ぶのは危険!

税金の負担をできる限り小さくしたい場合、もっとも注意すべきことは「法人所得税がない州 ≠ 州税の負担がゼロ」という点です。

州によっては(法人所得税の代わりに)別の形で税金が課されることがあります。代表的なものとしては「フランチャイズ・タックス」や州内の売上に対して課せられる「総売上税」などです。たとえばテキサス州では法人所得税が存在しません。しかしその代わりに、総収入(正確には、粗利)に基づく「フランチャイズ・タックス」が課される仕組みになっています。また、ワシントン州においても法人所得税は課されないものの、総収入に対して課されるB&O税(Business and Occupation tax)が存在します。

このように、利益(総収入 – 経費)以外の指標をベースとした課税が行われる州もあります。それゆえに、「法人所得税」の有無だけで税金負担を単純比較するのは危険です。

設立州の検討は、会社設立プロセス全体の中の一つのステップです。税制も含めた設立手順の全体像を把握したい方は、以下の記事もあわせて参考にしていただければと思います。

それでも法人所得税の影響は大きい

もっとも、ここまで注意を促してきたものの、実務上の傾向としては「フランチャイズ・タックス」や「総売上税」には小規模事業者への免除があったり、比較的低い税率で設定されていたりすることが多く、利益に対して課される法人所得税の方が税負担の大きくなるケースが多いです。そのため、利益が安定して出ている企業にとっては「法人所得税の有無」が実効税率に与える影響は依然として大きいといえます。この辺りはビジネスモデルや事業計画によってケースバイケースであるので、米国税務に詳しい会計士や税理士に相談し、税金負担のシミュレーションを実施しておくと安心です。

まとめ:その州の州税が「安い」のかどうかは、総合的に判断

州税を比較する際には、単純に法人所得税の有無だけを見るのではなく、1)法人所得税の有無や税率、2)フランチャイズ・タックスや総収入ベースの税、ミニマム・タックスの有無、3)州政府へのAnnual Registration費用などの維持・管理コスト、といった複数の要素を総合的に整理していくことをおすすめします。ビジネスの規模や事業形態によって州税の制度はケースバイケースですので、設立州を検討する際には各州の税制にもアンテナを張りつつ、総合的に判断していくことが重要です。

この記事が、アメリカでの会社設立を検討される経営者や起業家の方の助けになれば幸いです。

アメリカの会計士

出身:愛知県 所属会計事務所:日系会計事務所(ニューヨーク・ロサンゼルスにオフィスがございます) 米国公認会計士として、アメリカ現地で日系企業や個人事業主のバックオフィス支援に携わっています。あわせてAIによるデータ分析の修士号を持っており、日々の実務でもAIを最大限に活用しながら、「AIに任せられる部分は任せ、最後の砦は人が担う」という進め方を大切にしています。 アメリカでの起業や会社運営には、日本では聞き慣れない専門用語が多く、特に会計士や税理士の業務は「何をしているのか分かりにくい」領域だと感じています。ご相談をお受けする際には、なるべく難解な言葉を使わず、次に何をすればよいかが明確になるご説明を心がけています。皆様の不安や負担を少しでも軽くし、本業に安心して集中していただける体制づくりに貢献できればと思っております。 会計士や税理士に相談するのは少しハードルが高い——そう感じる方もいらっしゃるかもしれません。そのような方は、まずはこのサイトをご覧いただき、私や会計・税務、そしてAIの実務への活用を、少し身近に感じていただければ嬉しく思います。 アメリカでの経理や確定申告、バックオフィスまわりへのAI活用など、些細なことでもお気軽にお問い合わせください。

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