この記事でわかること
「QuickBooksを契約したけれど、最初に何を設定すればいいのか分からない」
「業種や会計基準の選択を間違えると後で困るのではないか」
こうした疑問を持つ方は少なくないと思います。実は、QuickBooks Onlineの初期設定は、ポイントを押さえれば30分から1時間ほどで完了します。なぜなら、設定が必要な項目は限られており、つまずきやすい箇所もある程度決まっているためです。最初の設定さえ正しく行えば、その後の記帳がぐっと楽になります。
この記事では、QuickBooks Onlineの始め方としてアカウント作成・会社情報の入力・業種選択・最初にやる初期設定5つを、画面の流れに沿って順番に解説していきます。
所要時間の目安と全体の流れ
まず最初に、QuickBooksを使い始めるまでの全体像と各工程にかかる時間の目安を確認します。先に全体の流れをつかんでおくと、途中で迷いにくくなるためです。
結論からいえば、アカウント作成から初期設定の完了まで、おおむね30分〜1時間が目安です。慣れている方であれば30分前後、初めての方でも1時間あればひととおり終わります。
全体の流れは、大きく4つのステップに分かれます。
- ステップ1:アカウント作成(約5分)
- ステップ2:会社情報の入力(約10分)
- ステップ3:業種の選択(約5分)
- ステップ4:最初にやる初期設定5つ(約20〜30分)
このうち、もっとも時間をかけて頂きたいのが最後のステップ4です。なぜなら、ここで設定する会計基準や開始日はあとから変更すると過去のデータに影響が出ることがあるためです。順番に見ていきましょう。
1. QuickBooksのアカウント作成
まずは、QuickBooks Onlineのアカウントを作成するところから始めます。ここでは、プランの選び方とアカウント登録方法を順に説明します。
1.1. プランを選んでサインアップする
QuickBooks Onlineのアカウント作成は、公式サイトの「Buy now」または「Free trial(無料トライアル)」ボタンから始められます。多くの方は、まず無料トライアルで試してから本契約に進むケースが多いようです。
プランは複数ありますが、スモールビジネスでよく選ばれるのは以下のあたりです。
- Simple Start:個人事業主や、ごく小規模な法人向け
- Essentials:請求書管理や複数ユーザーが必要な事業者向け
- Plus:在庫管理やプロジェクト別の損益管理が必要な事業者向け
どのプランを選ぶか迷う場合は、あとからアップグレードできるため、最初は必要最小限のプランから始めても問題ないかと思います。一方で、近いうちにビジネスの拡大や従業員の雇用などを考えている場合には、その想定にあったプランを選択することをおすすめします。日系企業の場合、複数ユーザーでの利用や請求書管理を考えると、EssentialsかPlusを選ぶケースが多い印象です。
1.2. メールアドレスとパスワードを登録する
プランを選んだら、次にアカウント登録に進みます。入力する項目は次のとおりです。
- Email(メールアドレス):ログインIDになります
- Phone(電話番号):本人確認に使われます
- Password(パスワード):ログイン用のパスワード
ここで登録するメールアドレスは、今後のログインや重要な通知に使われます。複数人で経理を担当する場合は、個人のアドレスではなく、共有しやすいアドレス(会社の共有アドレス等)を使うことをおすすめします。
2. 会社情報を入力する
アカウントを作成すると、次に会社情報の入力画面に進みます。ここでは、会社名・住所・会社形態などの基本情報を登録していきます。この情報は請求書や各種レポートに表示されるため、正確に入力することが大切です。
2.1. 会社名・住所・連絡先を入力する
最初に登録するのは、会社の基本的なプロフィールです。具体的には、次のような項目を入力します。
- Company name(会社名):法人登記した正式名称を入力します
- Legal name(法的名称):会社名と異なる場合のみ入力します
- Address(住所):事業所の住所を入力します
- EIN(雇用主識別番号):連邦税の申告に使う番号です
ここで入力した会社名と住所は、QuickBooksで作成する請求書(Invoice)の上部に表示されます。取引先に見られる情報になりますので、正式名称で登録しておくと安心です。
2.2. 会社形態(Company type)を選択する
次に、会社の形態を選びます。QuickBooksでは、税務上の区分に応じて以下のような選択肢が用意されています。
- Sole Proprietor(個人事業主)
- Partnership(パートナーシップ)
- LLC(有限責任会社)
- S Corporation(S法人)
- C Corporation(C法人)
ここで選んだ会社形態によって、QBOが自動で用意する勘定科目(Chart of Accounts)が変わります。自社の法人形態と一致するものを選ぶようにしてください。LLCを選んだ場合は、税務上どのように扱われているか(個人扱いか法人扱いか)も合わせて確認しておくと、後の税務申告がスムーズになります。
3. 業種を選択する
会社情報の入力が終わると、業種(Industry)の選択画面に進みます。ここはQuickBooksの初期設定でつまずきやすいポイントのひとつです。理由は、業種によってデフォルトで用意される勘定科目が変わるためです。
3.1. 自社に近い業種を選ぶ
業種選択では、検索ボックスに業種名を入力して自社にもっとも近いものを選びます。たとえば、レストランなら「Restaurant」、小売業なら「Retail」、コンサルティングなら「Consulting」といった具合です。
QuickBooksは、選んだ業種に合わせてよく使う勘定科目をあらかじめ用意してくれます。たとえばレストランを選べば、食材費や人件費に関連した科目が初期表示されます。記帳の手間を減らせるため、なるべく近い業種を選ぶのがおすすめです。
業種選択は完全に一致するものがなくても問題ありません。あくまで初期の勘定科目を用意するための設定なので、近いものを選んでおき、足りない科目は後から追加・編集できます。完璧を求めて時間をかけすぎる必要はないかと思います。
3.2. 業種選択で迷ったときの考え方
「自社の業種がリストにない」「複数の事業をしている」というケースもあるかと思います。その場合は、売上の柱になっている事業を基準に選ぶとよいと思います。
なお、業種選択にこだわりすぎる必要はないと考えています。なぜなら、勘定科目はあとから自由に編集できるからです。実務では、業種を選んだあとに自社に合わせて勘定科目を整理するケースがほとんどです。最初の段階では、ざっくり近いものを選んで先に進んで問題ありません。
4. 最初にやる初期設定5つ
会社情報と業種を登録したら、いよいよ最初の初期設定に進みます。ここで設定するのは、その後の記帳や決算に直結する重要な項目です。具体的には、開始日・会計基準・勘定科目・銀行連携・ユーザー権限の5つを順に設定していきます。
- 会計期間の開始日
- 会計基準
- 勘定科目
- 銀行連携
- ユーザー権限
4.1. 会計期間の開始日を設定する
最初に設定すべきは、会計データの開始日です。これは「いつからの取引をQuickBooksに記録するか」を決める設定です。
多くの場合、事業開始日、または会計年度の初日を開始日に設定します。たとえば1月1日が会計年度の初日であれば、その日を起点にデータを入力していきます。
開始日の設定は要注意ポイントです。開始日を後から変更すると、すでに入力した取引データとの整合性が崩れることがあります。途中の月から使い始める場合は、その月の初日の残高(期首残高)を正しく入力しておくことが大切です。年の途中から導入する場合は、会計士に相談しながら期首残高を設定することをおすすめします。
4.2. 会計基準(Accounting Method)を設定する
次に、会計基準を選びます。QuickBooksでは、以下の2つから選択します。
- Accrual(発生主義):取引が発生した時点で記録する方法
- Cash(現金主義):実際にお金が動いた時点で記録する方法
どちらを選ぶかは、税務申告で採用する会計基準に合わせるのが基本です。税務上、年間総収入が一定額を超える法人は発生主義が求められる場合があります。一方、小規模な事業では現金主義を選べるケースもあります。
会計基準の選択は、税務申告と密接に関わる重要な設定です。一度決めた会計基準を途中で変更するには、IRSへの届出が必要になる場合があります。どちらを選ぶか分からないときは、自己判断せず、会計士に確認されることをおすすめします。
なお、QuickBooksではレポートを表示する際にAccrualとCashを切り替えて確認できます。設定はあくまでデフォルトの表示方法を決めるものと考えてください。
4.3. 勘定科目(Chart of Accounts)を整理する
業種に応じて自動で用意された勘定科目を、自社に合わせて整える作業です。Settings(歯車アイコン)から「Chart of Accounts」を開いて確認します。
ここでは、次のような作業を行います。
- 使わない科目を非表示にする
- 足りない科目を追加する
- 科目名を自社に合わせて変更する
たとえば、日系企業で親会社への送金や立替金の管理が必要な場合は、専用の科目を追加しておくと管理が楽になります。最初から完璧に整える必要はなく、運用しながら少しずつ調整していけば十分です。
4.4. 銀行口座を連携する(Bank Feeds)
4つ目は、銀行口座やクレジットカードの連携設定です。これを設定すると、取引データが自動でQuickBooksに取り込まれるため、手入力の手間が大きく減ります。
設定は、左メニューの「Transactions」または「Banking」から「Link account」を選び、利用している銀行を検索してログイン情報を入力するだけです。多くの主要な米国の銀行に対応しています。
連携した取引は、QuickBooks上で適切な勘定科目に振り分けていきます。自動で取り込まれた取引を確認しながら分類することで、記帳の精度を保てます。連携後は定期的に取引を確認する習慣をつけるとよいかと思います。
4.5. ユーザーと権限を設定する
最後に、QBOを使うユーザーとその権限を設定します。経理担当者・経営者・会計士など、複数人で使う場合に重要な設定です。
Settings(歯車アイコン)から「Manage users」を開き、ユーザーを追加します。それぞれの役割に応じて、次のような権限を割り当てられます。
- Standard user:取引の入力など、通常の経理業務を行う権限
- Company admin:すべての操作ができる管理者権限
- Accountant:会計士専用のアクセス権限
会計士に記帳や決算を依頼している場合は、Accountant用の招待を送っておくとデータの共有がスムーズになります。権限を分けることで、誤操作のリスクも減らせます。
特に気をつけたい導入時のポイント
QuickBooksの初期設定について、実際に日系企業をサポートしてきた経験からお伝えしたいポイントがあります。
結論からいえば、最初に時間をかけるべきは「開始日」と「会計基準」の2つです。なぜなら、この2つは後から変更すると過去のデータや税務申告に影響が出やすいからです。業種選択や勘定科目は後から自由に直せますが、この2つだけは慎重に決めることをおすすめします。
実務でよく見かけるのが、年の途中からQuickBooksを導入したものの、期首残高を入力せずに使い始めてしまうケースです。この場合、決算時に帳簿と実際の残高が合わず、修正に余計な時間がかかります。年の途中から導入するなら、最初の段階で会計士に期首残高の入力について相談しておくと安心かと思います。
また、銀行連携は便利な機能ですが、取り込まれた取引を放置すると分類が溜まってしまいます。(取引件数にもよりますが)可能であれば週に一度など、定期的に確認する運用を最初に決めておくことをおすすめします。
まとめ
この記事では、QuickBooks Onlineの始め方として、アカウント作成から会社情報の入力、業種選択、最初にやる初期設定5つまでを解説してきました。
以下に、この記事のポイントを整理しておきます。
※ 所要時間はあくまで目安です。慣れている方は約30分、初めての方でも1時間ほどで完了します。
この記事が、これからQuickBooks Onlineを使い始める日本人・日系企業の方の助けになれば幸いです。