アメリカのおすすめシェアオフィス4選|選び方やメリット・デメリットを解説

2026.04.11
会社運営・各種届出

この記事を書いた人トム | アメリカの会計士
米国の日系会計事務所にて、会計・税務・労務を中心としたバックオフィス業務と業務効率化のご支援をしています。些細なことでもお気軽にご質問ください。

「アメリカでオフィスを借りたいけど、賃料が高すぎる。」
「シェアオフィスって実際どんなサービスで、どこを選べばいいの?」

こうした疑問を持つ方は少なくないと思います。アメリカの賃貸オフィスは初期費用が高く、契約期間も長い。かといって自宅住所をビジネスに使うのは抵抗がある。そんな方にとって、シェアオフィスはひとつの現実的な選択肢となるかと思います。

この記事では、アメリカのシェアオフィスの概要からメリット・デメリット、おすすめのシェアオフィス4選をご紹介していきます。

1. アメリカのシェアオフィスとは

シェアオフィス(コワーキング・スペースとも呼ばれます)とは、複数の企業・個人事業主・フリーランサーが共同で使用するオフィス空間のことです。フリーアドレスのオープンスペースや個室の会議室、電話ブースなどさまざまな形態が用意されており、利用者は必要なプランだけ契約する形です。

アメリカでは2010年代以降にコワーキングカルチャーが急速に広まり、WeWorkの台頭を皮切りに、現在では全米の主要都市にさまざまなシェアオフィスが展開しています。スタートアップのみならず、大企業のサテライト拠点や駐在員が赴任直後に使う一時的なオフィスとしても広く活用されています。

よく混同されますが、シェアオフィスとバーチャルオフィスは異なるサービスです。

  • シェアオフィス/コワーキングスペース:物理的な作業スペースを提供するサービス。実際にそこへ出向いて仕事をする。
  • バーチャルオフィス:住所・電話番号・郵便受取などのサービスのみを提供し、物理的なデスクはない。

バーチャルオフィスについては別の記事で詳しく解説しています。

2. シェアオフィスを使うメリット

シェアオフィスのメリットについて、以下それぞれ解説します。

初期費用と固定費を抑えられる

アメリカで通常のオフィスを借りると、セキュリティデポジット(例:賃料の1〜3か月分)や内装工事費など、入居前の初期費用だけで数万ドルに達することも珍しくありません。賃貸契約の期間も3〜5年が一般的で、契約期間中の解約には違約金が発生します。

その点、シェアオフィスであれば月額数百ドルから利用でき、最低契約期間も月単位のプランが多いため、事業の規模感が定まっていない立ち上げ期に特に有効です。

インフラが最初から整っている

高速Wi-Fi、プリンター、会議室、コーヒー・水などのアメニティが最初から使える状態で提供されます。デスクやチェアも含まれているため、入居初日から仕事ができる状態を確保することができます。特にアメリカに赴任したばかりの方にとって、オフィス環境の整備に時間を取られずに済む点は大きなメリットだと思います。

ビジネス(商用)アドレスとして使える

多くのシェアオフィスでは、契約者に対してそのビルの住所をビジネスアドレスとして使用する権利を付与しています。自宅住所をLLCや法人の登記住所・名刺・ウェブサイトに記載したくない方にとって、マンハッタンやシリコンバレーなど主要ビジネス地区の住所をビジネスアドレスとして使えることは、対外的な信用面でもメリットになります。

フレキシブルなプランが選べる

一般に、シェアオフィスでは様々なサービスプランが提供されています。よくある利用形態は以下のとおりです。

  • ワンデイパス(Day Pass):1日単位でのスポット利用。出張や一時的な作業に適している。
  • ホットデスク(Hot Desk):毎回異なる席を使うフリーアドレス型の月額プラン。
  • デディケーテッドデスク(Dedicated Desk):毎回同じ固定席を確保できる月額プラン。
  • プライベートオフィス(Private Office):専用の個室オフィスを借りるプラン。チームでの利用に適している。

上記のとおり、従業員の人数やオフィスの使用頻度などによってプランを選べる柔軟さがシェアオフィスの大きな強みかと思います。

コミュニティとネットワーキングの機会

同じスペースに異業種の起業家やフリーランサーが集まるため、自然なビジネスネットワーキングが生まれやすい環境でもあります。シェアオフィスによっては定期的なイベントや交流会を開催しており、アメリカでの人脈づくりに役立つ場合もあります。

3. シェアオフィスのデメリットと注意点

メリットの一方で、シェアオフィスには以下のような注意点もあります。

長期利用になると割高になる場合がある

ホットデスク(Hot Desk)のプランであれば月額$200〜$500程度から利用できますが、プライベートオフィスになると月額$1,000〜$3,000以上になるケースもあります。事業が安定し人員が増えてきた段階では、通常の賃貸オフィスを契約する方がトータルコストで安くなることもあるため、定期的に費用対効果を見直すことをおすすめします。

機密情報の取り扱いに注意が必要

オープンスペースでは会話が周囲に聞こえやすく、画面の覗き見リスクもあります。機密性の高いクライアントとの打ち合わせや、財務・法務関連の書類を扱う場合は、個室の会議室や電話ブースを使うなど工夫が必要です。

混雑・騒音によって集中しにくい場合がある

人気のロケーションや時間帯によっては席が埋まっていたり、周囲の会話や電話の音で集中しにくかったりすることがあります。特にホットデスクは毎回席が変わるため、常に同じ作業環境を維持しにくいというデメリットもあります。

住所の使用条件を必ず確認する

シェアオフィスの住所を法人の登記住所として使いたい場合、シェアオフィスの規約でそれが許可されているかを事前に確認する必要があります。すべてのシェアオフィスが登記住所としての使用を認めているわけではありません。また、州によっては登記住所の要件があるため、使用前に確認しておくことをおすすめします。

4. アメリカのおすすめシェアオフィス

全米に展開しているおすすめのシェアオフィスをご紹介します。それぞれ特徴が異なるため、利用目的やロケーション、予算に合わせて検討すると良いかと思います。

WeWork

言わずと知れたアメリカを代表するシェアオフィスで、全米だけなくグローバルに多数のシェアオフィスがあります。そのため、グローバルメンバーシップで複数都市の拠点を利用することができます。

サービスプランは個人事業主向けの時間あたりの利用から大企業向けの専用フロア利用まで対応しており、スタートアップから中規模企業まで幅広く使われています。その点、事業規模の急速な拡大にも対応しやすい点がメリットとして挙げられます。

また、WeWorkでは定期的なネットワーキングイベントを開催しており、自然な形で現地のネットワークを広げたい方にとってもおすすめです。

Regus

IWG(International Workplace Group)グループが運営するRegusは、WeWorkと並ぶ世界最大級のコワーキングスペースです。全米・全世界に拠点があり、特に出張が多い方にはグローバルメンバーシップで複数都市の拠点を使い回せる点が魅力です。

WeWorkがカジュアルでクリエイティブ向けなオフィスの雰囲気となっているのに対し、Regusはどちらかというとプロフェッショナルで実用的なスタイルのオフィスデザインとなっています。WeWorkで行われるような定期的なネットワーキングイベントは少なく、どちらかというとクローズドな空間・環境を好む場合(プライバシー重視など)に適していると言えます。なお、価格はWeWorkよりも若干リーズナブルな場合が多いようです。

Spaces

同じくIWG(International Workplace Group)グループが運営するSpacesは、Regusよりもクリエイティブ・スタートアップ向けのデザインが特徴です。アムステルダム発祥のブランドで、アメリカ国内主要都市にも展開しています。コミュニティイベントにも力を入れており、ネットワーキングを重視する方に向いています。WeWorkを検討されている方は、類似するシェアオフィスとしてSpacesについても検討されると良いかもしれません。

Industrious

Industriousは、アメリカ国内の主要都市を中心に展開するコワーキングスペースです。インテリアの高級感や静かな作業環境に定評があり、集中して作業したい方やクライアントをオフィスに招くことのある方に人気があります。実際に、WeWorkが主にフリーランスや中小規模の事業者をターゲットにしているのに対し、IndustriousはFortune 500企業までを顧客ターゲットとしています。

5. シェアオフィス選びのポイント

どのシェアオフィスを選ぶかは、以下の観点で比較すると良いかと思います。なお、価格については公式サイトに明示されていない場合が多いため、想定される利用人数や利用シーンを基にそれぞれで見積もりを依頼することになります。

  • ロケーション:クライアント・取引先へのアクセス、自宅からの通勤距離、主要交通機関からの利便性。
  • 利用頻度と人数:週に数回ひとりで使うのか、チームで毎日使うのかによって最適なプランが変わる。人数が増えるほどプライベートオフィスの方がコスト効率が良くなるケースも。
  • 必要な設備:高速インターネットの品質、会議室の予約のしやすさ、電話ブースの有無、印刷・郵便受取サービスの内容などを確認する。
  • 住所の利用条件:ビジネスアドレスや法人登記住所としての使用が認められているかどうかを契約前に確認する。
  • 契約の柔軟性:最低契約期間、解約条件、プランの変更がしやすいかどうかを確認する。事業の成長に合わせて拡張・縮小できるかは重要な判断基準になる。

多くのシェアオフィスでは無料のオフィスツアーやトライアル利用を提供しています。契約前に実際に訪問し、Wi-Fiの速度や会議室の混み具合、周囲の騒音レベルなどを自分の目で確かめることをおすすめします。

特に、アメリカの方は(日本人に比べて)お話好きが多いです。そのため、シェアオフィスのオープンスペースが思っているよりも賑やかな場合もありますので、その辺りのリアルな環境をチェックしておくことをおすすめします。


シェアオフィスの活用はオフィス契約の選択肢の一つで、会社設立プロセスの中で検討すべきステップの一つです。設立手順の全体像を把握したい方は、以下の記事もあわせて参考にしていただければと思います。

まとめ

この記事では、アメリカのシェアオフィスの概要からメリット・デメリット、おすすめのシェアオフィス4選をご紹介しました。

以下に、この記事のポイントを整理しておきます。

アメリカのシェアオフィス活用術:メリット・デメリット・選び方まとめ

メリット
01
初期費用・固定費を大幅に抑えられる
月額数百ドルから利用可能。デポジット・内装工事・長期契約不要で、立ち上げ期のコストリスクを最小化できる。
メリット
02
インフラがすぐに整っている
Wi-Fi・プリンター・会議室・デスク・チェアが完備。入居初日から業務開始が可能で、赴任直後の方にも最適。
メリット
03
主要ビジネス地区の住所をビジネスアドレスとして使用できる
マンハッタンやシリコンバレーなどの住所を名刺・ウェブサイト・法人登記に活用でき、対外的な信用を高められる。
メリット
04
One Day Pass 〜プライベートオフィスまでフレキシブルに選べる
1日単位のスポット利用から、ホットデスク・固定デスク・専用個室まで、人数・頻度・プライバシーに合わせて最適なプランを選択できる。
メリット
05
異業種との自然なネットワーキングが生まれる
起業家・フリーランサーが集まる環境でビジネス人脈を構築。定期イベント・交流会を開催するシェアオフィスも多い。

注意点
01
長期利用・規模拡大では割高になる場合がある
プライベートオフィスは月額$1,000〜$3,000以上のケースも。事業安定後は通常の賃貸オフィスと費用対効果を定期的に比較すること。
注意点
02
オープンスペースでの機密情報の取り扱いに注意
会話の漏れ・画面の覗き見リスクあり。機密性の高い業務には個室会議室や電話ブースを活用すること。
注意点
03
混雑・騒音で集中しにくい場合がある
人気ロケーションや時間帯によっては満席・騒音の問題も。ホットデスクは毎回席が変わるため、安定した作業環境を求める場合は固定デスクが望ましい。
注意点
04
住所の登記利用可否を事前に必ず確認する
すべてのシェアオフィスが法人登記住所としての使用を認めているわけではない。契約前にシェアオフィスの規約と州の要件を確認すること。

この記事が、アメリカでのオフィス環境を検討している方の助けになれば幸いです。

アメリカの会計士

出身:愛知県 所属会計事務所:日系会計事務所(ニューヨーク・ロサンゼルスにオフィスがございます) 米国公認会計士として、アメリカ現地で日系企業や個人事業主のバックオフィス支援に携わっています。あわせてAIによるデータ分析の修士号を持っており、日々の実務でもAIを最大限に活用しながら、「AIに任せられる部分は任せ、最後の砦は人が担う」という進め方を大切にしています。 アメリカでの起業や会社運営には、日本では聞き慣れない専門用語が多く、特に会計士や税理士の業務は「何をしているのか分かりにくい」領域だと感じています。ご相談をお受けする際には、なるべく難解な言葉を使わず、次に何をすればよいかが明確になるご説明を心がけています。皆様の不安や負担を少しでも軽くし、本業に安心して集中していただける体制づくりに貢献できればと思っております。 会計士や税理士に相談するのは少しハードルが高い——そう感じる方もいらっしゃるかもしれません。そのような方は、まずはこのサイトをご覧いただき、私や会計・税務、そしてAIの実務への活用を、少し身近に感じていただければ嬉しく思います。 アメリカでの経理や確定申告、バックオフィスまわりへのAI活用など、些細なことでもお気軽にお問い合わせください。

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